近年は、ムービング・マンガという新しい手法を発案・展開している。インターネット・DVD等次のメディアを睨んだ動きに注目したい。

「谷間夢路の絶叫劇場 Vol.1」これがムービング・マンガ(VHS)。
谷間夢路:花粉症なんだけど、今年まだあんまり、飛んでないのかな?
ストロング山下:敏感な人はもう、けっこうきてるみたいですね。
ね、クシャミとかね。
暖かくなったから髪切ったら、また寒くなってきちゃって。
あははは。でも、頭冷やしちゃいけないみたい。昔ほら、年寄が、頭冷やしちゃいけないってんで…別に頭なんか外に出てるんだから冷えることないじゃないかなあなんて思ってたけど(笑)でも、最近帽子かぶって来てるでしょ、そしたらなんか風邪ひかないね。
あ、そうなんですか。
年寄りの年代になったんだけどさ…(笑)
あの当時の雑誌の作家さん達とは、現在顔合わすっていう感じじゃあないんですか?
うん、最初の「漫Q」時代の人達ってのは、僕なんかより相当歳が上だったから、もう、やってないんじゃないかな、たぶん、会えるような 人はいないかも。
しっかし、この、激動の漫画・劇画界の生証人だなあ、完全に(笑)
そう、だから早くなんか残しとかないとね(笑)こんだけ色んなジャンル掛け持ちでやって、実状知ってる人っていないだろって思うからさ、なんか、はやく、残こしときたいね。
そうですよ〜。
日本の漫画界、裏の漫画界(笑)昔の作家とちょっと対談したり、DVDにして作品を動かしてあげたりしたら、「うわあ、こりゃあいい!」って言う人いっぱいいると思う。そーゆうシリーズ企画実現したいね。
楽しいですね。
あの当時の雑誌
中学生の頃、借りた本を模写したっていうのは、そもそもが絵が好きだったとか、描いてたとか?
小学校3年くらいの時、学校の宿題で紙芝居が出たの。
へええ、紙芝居ですか。
かちかち山を、みんなで1枚づつ描いて、ひとつの紙芝居作ってね、僕はちょうど、タヌキの背中燃えてるやつかなんかを描いた、それが、すごく誉められたの(笑)で、誉められると、ほらよくあるでしょう、ちっちゃい頃誉められたことがすごくその気になるってのが…ブタもおだてりゃ木に登るってやつ…それが最初かなあ。
ははあ。
で、やっぱり「ウマイねえ」って言われ、ウマイウマイって言われると、しょっちゅう描くわけよ。そうすると、近所のオバさんなんかがそれ見て「将来、画家になったら」なんて誉めてくれるそれが気持ちよくて、今の谷間夢路が生まれた…誉めたほうがいいよね、子供は。
そうですよね。
俳優や歌手もみんなそうゆう感じでなった人が多いね。ちっちゃいとき歌ったら誉められて、なんて…。
家族集めてテーブルの上をステージにしてね。
みんな、小さい頃にそうだったってのが多いよね。
貸本時代なんですが、しばらく投稿が続いたんですか?
投稿は1回だけかな。
あっそうか。
あのう、「顔」に。
そうですね。
だから、ほんとにボクも、運がいいなあとは思う。
ええ。
一発やっただけで受かっちゃった。その前の、芸術学院が初めて催した大会のときもそう。全国から優秀な人がみんな来て、審査員が手塚さん(手塚治虫)でしょ。その何ヵ月か前に入学して、展覧会あるから、じゃあ、なんか描いてみようって思って、描いたやつが受かって全国で3位になっちゃったの(笑)
すごいなあ。
まあ、なーんか運が良かったね。その時もそうだけど「顔」に投稿した時も、ほんとに初めて描いた1作目なのよ…。
うへえ!
だから、載った本持って、出版社回るわけ、「ここで載りました」って言って。
ええ。
「どっかに載ってればいいや、使おう」っていう。劇画の創世期だから次から次ぎに出すには作品がどうのっていうのじゃなくて、とにかく原稿がほしかったんだろうね 。
はい。
だから創生期に携わるっていうのは良いわけよ。
そうですねえ。
ボクは、色んなジャンルの創生期携わってるから…(笑)
あははは。
少女ホラー漫画界だって、15年ぐらい前ってのは、もう、バーッって広がるときでしょ、長年いると、そういうのわかるのかな肌で?
ええ。
ホラー漫画ってのは、漫画でも、いちばんおもしろいとボクは思ってるの、その頃少女マンガは恋愛物とかばっかで、パターン化しちゃって、キャラクターが、かわいい女の子か男しか出てこない…
はい。
漫画のおもしろさっていうのは、沢山登場するキャラクターのバリエイションでしょ、それもデフォルメして作るおもしろさが読者は面白い。ホラー物はそおゆうニーズを一番兼ねそなえてるし幽霊や妖怪、ゾンビの絵は作家が見てくれる読者のために懸命にキャラクターデザインして毎回、目新しさをと努力する、、同じパターンのキャラクターばっかりじゃあ漫画のおもしろさは無い、そういう 新しいキャラクター作ったりとか、絵の面白さとかが少女漫画になくなってものすごい衰退してきちゃったときだから「よしっ次はホラーだ」と思ってパンドラや秋田でホラー描き下ろしの単行本を描いた、その後すごいブームになって、「S」という月刊少女ホラー誌が最初はB版で出して売れてたんだけど、落ち込んできた時、話題になってる作家を集めてA版にしてやろうということになった。パンドラで一緒に描いてたボクとか日野さん(日野日出志)、古賀さん(古賀新一)が新参加して再ヒットした。その時編集長が編集スタッフに「ラインナップを人選しろ」って、今話題になってるホラー漫画家を集めさせた。
ほう。
若い編集の人が谷間夢路って出してくれたわけ。でも編集長は知らなくて「谷間夢路って誰?」って(笑) 編集さんが「そういえば昔、出井州忍とかいってたみたいですよ」って言ったら、「なんだ、出井州さんなら、俺の方がよく知ってるよ」って、週刊少年誌の副編集長時代担当してくれた人で「なんだ」ってすぐ飛んできてくれて「描いてくれる?」ってことになって、お世話になった人だから「ぜひやらしてくれ」って。それから またワーッとその本がが売れてきてた。そこで7年シリーズ物を描きましたね…
先生が怪奇物が描けるってわかったのは、随分後年になってからなんですねえ。
そう、怪奇物は、好きだったんだけど、なかなか、ブームや季節ものっていうか、僕はどうしても、日の当たる場所に行きたい人だから(爆)、目立ちたがりやだから(笑)、なんか、出そうだなっていうのを先に手掛ける、三流エロ劇画、下ネタ四コマ、レディ−スコミックが先だったの、それぞれのジャンルが生まれる前には編集の人が、ウチによく来て、ボクと飲み語らいしてましたね。
へえ。
下ネタ4コマの時は 編集の人が単行本企画やるんだけど、「出井州さん、Iさんって知ってる?」って言うから、「あ、名前聞いたことあるけど」って、「四コマ漫画で、エッチで、今すんごい人気あるんですよ」「あ、そう、じゃあ、今度見てみるよ」とか 、で、そのうちに、サンケイスポ−ツ新聞の方から「四コマやってー」って来た、真田十勇士のコミックを出版社の人が、宣伝のため送ったのをを見た、娯楽ページの編集の人がおもしろいから「ぜひ、四コマ漫画で描いてください」というの、その作品は劇画だったんだけどこれを、四コマでできないかなって。あれは頁ものギャグ漫画で、ずっと続いてるからおもしろくできるけど、四コマでそういう雰囲気を出すのはなかなか難しい。だから、全然違う四コマじゃないと難しいって。「ど ういう四コマが良いんですか?」って聞いたら、Iさんみたいならいいって言うの。
ほう。
「魔界真田十勇士」出井州忍 辰巳出版。
同時期に両方から言われたから、「あ、これはもう真剣に見てみよう」と思って、見たらおもしろいんだ。
ほう。
女の子がかわいらしいし…
はい。
オヤジはスケベったらしいし(笑)
あはは。
編集の人が「Iさんの単行本出したいんだけど、どうかな?」って言うから、「これは絶対売れる」って言いましたね。そしたら、爆発的に売れて、それから、こんどは雑誌化しようってんで、編集さんが、増刊号で月1回中綴じで、B版で出すことになっ たから谷間さん、原稿貸して」って言うから、「じゃ、快笑ギャグでやった、"夢子の男友達"っていうのあるから」それからキャスターちゃんっていう四コマがあるって…ボクの2本入って創刊に。
んん。
巻頭 I さんでやって。あれよあれよという間に売れてその本、隔週誌になっちゃった。
そうですよね。
それが、B社の最初の大ヒット。その後、少女ホラーもこーゆうジャンルがくるからと企画出して、創刊した。創刊号はボクの200ページぐらいで、表紙も描いた。で、その後何年 かして、「まじめなレディースの時代が来るから、レディースやりな」つって局長に話したら「いや、もう、レディースは2年ぐらい赤字で売れないからやめる」って言うから「何言ってんの、これからなんだよ」って(笑)そして当時真面目な女性誌作りをして、いい作家を育てていたO企画を紹介した。今レディースコミックを真面目な女性誌にして確立させたのはこのO企画です。やっぱり、漫画家って創生期にやらなきゃダメ。そうすっと、もう、欲しい欲しいだから仕事は沢山あるわけ。ネット時代も、創生期になるとソフトが欲しくてたまらないから、今やっとくと良いと思うね。今度やるからね、衛星放送とDVDとインターネットのムービング・マンガを。
いいですよね。あれ、そのまんま配信できたら。
ホラーの方も、単行本で売れてる人とか、みんなお友達だから、そういうのを今度は活かしてね。
絵柄が違うんでちょっと見、わからないけど先生が描いた表紙−−炎のエアブラシ
先生はあれですか…絵柄とかちょっとづつ、こう、時期的に変わってるじゃないですか。ああいうのは意図的にやってるんですか?
僕は根本的に、漫画家って、絵にずっと熱中して集中して、ひとつの絵で、やってく人、絵師っていうね。それと、描きたいものを描く、その表現方法のためには絵は、内容に合ったものに変えた方が、いいだろって、そういう2種類の人がいると思うの。花輪和一さんは、絵師だから、ずうっとあの絵でいくわけでしょ。僕なんか…僕ぐらい変えちゃう人もいないけどね(笑)手塚さんは絵を変えないでいろんなジャンルを、やるけど、あれは手塚さんが漫画の神様だからで、いろんなジャンルをやっても、あれだけデフォルメされて、手塚漫画になってるから通用するけど、ほかの人はなかなか難しい。ボクは、良いと思ったら…惚れ込じゃうっていうか強く影響受けちゃうタイプだから、その時代、いいと思うと、なんとかそういう感じを出したいと思っちゃう。サンケイスポーツの4コマ、キャスターちゃんは岩谷テンホーさんががいいと思うとそうなってしまう。テンホーさんの四コマは劇画風四コマなのね、背景もリアリテイある描き方してるし。セリフもそうだし。だから、あっテンホーさんががいいなあってんで、四コマ描くとテンホーさんみたいになっちゃう、山上たつひこさんがいいな〜って思えば、山上さんタッチになる。
マッチョ分署より(未単行本)
漫画家さんて、基本的には絵描くのが好きなんですか?そうでもない?
どうなんですかね…。たぶんね、そういう人はわりと少なくて、ほんとは目立ちたいんじゃ…(笑)だから、なんのジャンルでも、出て…
出たがりなんですね。
いろんなメッセージを表現したいっていう、それが根本的にあるんだよね。ただ、ほら、自分の容姿に自信がないとか(笑)はずかしがり屋 っていう人が、漫画家になってるのが多いんだと思う。最近はちょっと違ってきてるけど。だいたい昔の漫画家って、やっぱりほら、そういうとこ出たり、話があんまり上手じゃないんで、描いて表現してみたいなのがあったんじゃない、今はもうそういうナイーブな人が少なくて全然違ってきてるけど、でも、基本的にはやっぱり、そういう出たがり、目立ちたがりやなんじゃないの。たとえば、泉谷しげるさんにしたって、筒井康隆さんにしたって、林家木久蔵さんだって、みんな漫画描いてたっていうそうだし…。
そうですね。ジョン・レノンも描いてるし。
違うジャンルでも、もっと受ければ、そっち行っちゃうわけよ。それに、漫画は大変でしょう、集中力が。1作描く集中力がね。
昔、好きで描いてたんですけど、すごい労力ですよね。
そうそう。でね、いっかい集中力が切れちゃうともうダメなのね。連載物持ってて、それやめて、少し休んで、もっといいもんだけ描こうと思ったら絶対できないね。だから、何ヵ月か休んでいい 物描きましょうとかしても、絶対描けない。
漫画家出たがり論の典型は楳図かずおさんですかね。いろんなことやってましたもんね。
ボクの、ムービング・マンガってのは、これからの時代だと思って、3年ぐらい前からやりはじめたんだけど、アニメはもう、宮崎駿さんがいるし、あそこまで、お金かけてやるのは難しい、でも、また別に宮崎アニメのようにそんなに動く必要もないとボクは思ってるの、うん、否定してるんじゃなく実写みたいに動かすアニメはそういうジャンルでいいんだけど、まったく新しいジャンルを作らないと意味無いし、21世紀の柱になるのは、やっぱし漫画、劇画、アニメの次にくる新しい…漫画だろうと思ってるから、それをなんとか作りたいと思って時代を動かすシンボライズされたネーミングでムービングマンガと命名したわけ。それは時代に変化をとげてきた前者のいいところを全て取り込みコンピューターで作る新しいマンガ…友人の長田ノオトさんが12chでやってた猫目小僧のビデオをくれたの、あれ見たらすごいの。絵が…紙芝居風でこれをもっっと進化させれば…。
ええ。
それで、よし、これで、もうちょっと動かせばいいなって。
当時は画期的すぎて視聴率は取れなかったらしいですね。
まあ、そういうきっかけみたいのが意欲になってね。劇画のときも、これなら描けるなんてことだったし、 アニメの次世代ムービングマンガの方もこれならやれる!と思った、コンピューターならもっと新しいことができるからね。