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好きな作家の仕事を手元に置いておきたいという欲求により、イバラの道を歩み出す人はけっこう多い。コレクションの最もポピュラーな形であろうか。手塚治虫、藤子不二雄、水木しげる物などが有名だが、今となっては入手困難、というか事実上不可能なものがある。出版は確認されているのだが現物確認はされていない真レアものまであるそうで、大変なことになっている。
漫画家だけではなく原作者物にもその熱意ベクトルは向けられている。梶原一騎ものは一頃ほどではないが、根強い人気があるそうだ。漫画単行本、掲載雑誌はおろか、挿絵、イラスト、関連記事にいたるまで完全コンプリートを目差す人もいる。
古本屋的にも重要な商売ネタであり、価格もスゴイことになる。佐藤書房(八王子)のセット売りも話題になった。ただ、先に上げた王道系から外れた作家たちも陰ながら注目している人たちにもいるようだ。
数年前ブームだった、虫コミやサンコミなどの単行本シリーズがわかりやすいと思う。虫コミ・セットなんかけっこうどこの専門店にもあったものだ。今はどうなってるんでしょうかね。仕舞い込まれているんでしょうか。最近だとガキ物(テレマガ、テレラン、100ランなど)が熱いそうだ。
たとえば怪奇物。ひばり物や立風レモン怪奇物が代表格。確信系、戦争物、カバー装丁など、とにかく個人個人の思い入れにより多種多様なバリエーションが存在する。
コレクターの種類
コレクターといってもその守備範囲は多岐にわたり、分類していくことは難しいが、おおむね2種類に分類できる。
(1) コンプリーター……一人の作家の作品を全部集めようと言う人や、あるレーベルを全部集めようと言う人。とにかく全部そろえるために地道を挙げる。リストなどが多く出回っているため、目安がつけやすく、コレクター人口としてはこれが一番多い。これははっきりいってイバラの道で、だいたいつまらない作品ほどモノがなく、したがって値段も高いと言うことになってしまう。「量で勝負」のコレクターと言ったところか。一般的にあまり状態にこだわらない。
(2) 一点豪華主義コレクター……自他共に認める良いモノだけを厳選して集めるコレクター。こういったコレクターは、ほとんどモノを買わないが、ここぞと言うときにはものすごい金額をはたく。「質で勝負」のコレクターといったところか。一般的に状態に非常にうるさく、「極美」というフレーズに弱い。
「コンプリーター」の中でも、藤子や梶原といった作家を追い求めているコレクターは、すさまじい人が多く、雑誌から新聞、果ては小説やその挿絵といったものまで集める。まさに「信者」という言葉が当てはまりそうなコレクターも多い。
コレクションのために本を入手するといのは極めてまっとうな行為である。コレクション本というものは、本来の“読む”ということとは別の次元に位置するものである。中にはきちんと読む人や調査研究する人もいるようだが、おおかたは、他のコレクションと同様に持っていると気持ちがいい、眺めてるだけでシアワセといった気分的な満足を得るための行為である。持っていればいつでも読めるというのもあるだろう。
“持っていると気持ちがいい”という部分には、「他人が持っているのに自分は持っていないのは悔しい」「ふふふ、自分しか持っていない」などという心理も含まれている場合がある。人として、完全排除できない部分でもあるので全否定はしないが、できることならおおらかに収集を楽しみたいところである。通常は、古本探索が上達するにつれて「本はただ一冊ではない」ことに気付き、邪念がなくなってくるものである。
また、悔しいとかなんとかという邪念がない心理で、自分的には興味も何もないのだが周りの人は持っているので、話題的に押さえておこうというものもある。